この本の中には100本程度の童謡詩を載せましたが、やはり自分の好きな作品はあるもので、今日はそれを上げてみます。
月日貝
西のお空は あかね色、あかいお日さま 海のなか、
東のお空 眞珠いろ、まるい、黄色い お月さま。
日ぐれに落ちた お日さまと、夜あけに沈む お月さま 逢うたは深い 海の底。
ある日 漁師にひろはれた、赤とうす黄の 月日貝。
横書きで、しかもこんな活字なのでまったく雰囲気が出ないけれど、もうひとつだけ出してみましょうか。これは金子みすゞさんの生前の投稿作ではなく、自死の三ヵ月後に、蝋人形昭和5年5月号に掲載されたもので、同じく「象」と一緒に載りましたが、これはおそらくどの本にも書かれていない新事実ではないかと自負しています。
四つ辻
誰か 知らないお客さま、おうちのみちをきかないか。
すねてお家をぬけたゆゑ、秋の夕ぐれ、四つ辻に。
はらりはらりと散る柳、ちろりちろりとつく灯(ともし)。
たれか 知らない旅のひと、お家のみちをきかないか。
他にも好きな作品はありますが、金子みすゞさんのファンがそれぞれに自分の好きな作品を心の中で大切にすればよいのでしょうから、私が出しゃばるのはこの辺で。
金子みすゞ 金子みすゞさんのことを書きました。わかれ童謡(うた)追憶のみすゞ
金子みすゞさんが生前発表した100作品を網羅、母と娘のまなざしをも通して生涯を綴る。 金子みすゞの魅力を、力不足を知りつつも書いてみたいと思いました。 仙崎、下関、青海島など取材、著作権があるから勝手にはさせないぞと主張する某出版社の妨害にも負けずに、 A5版220ページの本ができました。 自費製本ですので、応援する意味を込めてご注文願えるとありがたいです。
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